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日蓮正宗妙観講連続電話盗聴事件に関わる裁判記録

◆事件と裁判、そしてその後

1991(平成3)年5月より同年12月までのあいだに日蓮正宗妙観講の講頭である大草一男や教学部長であった渡邉茂夫らが、日蓮正宗渉外部長の秋元広学や日蓮正宗の信者であったX、日蓮正宗と対立していた創価学会の青年部幹部Yなどの電話を盗聴した。その他、日蓮正宗総本山大石寺の主任理事(当時)であった八木信瑩(現・日照)が住職をする妙泉坊の電話盗聴をしようとしたが未遂に終わった。
これらの電話盗聴を現場で実際に行なったのは株式会社帝国リサーチ(すでに解散。当時の代表取締役は福田恵美子)。また、未遂に終わったが妙泉坊を盗聴しようとしたのは株式会社帝国リサーチの元社員であった辻栄三郎。
一連の電話盗聴のうち、八木、秋元、Xに対する電話盗聴は日蓮正宗法主(当時)阿部日顕より命令されたものであることが、この電話盗聴の実行犯の一人である渡邉の証言により判明している。さらに電話盗聴を実際に行なった株式会社帝国リサーチより渡邉の下に送られたファックスには、「本山に出すので正規の料金で請求書を作成して欲しい」と記されている。
渡邉の証言及びファックスという物証によっても裏づけられたように、大石寺すなわち阿部日顕が本件電話盗聴事件の資金源で最高命令者であることは揺るがしがたい。
仏法上の物怪ともいえる阿部日顕を「現代における大聖人様」と仰ぐ既成仏教の皮をかぶったカルト集団の犯罪は、日蓮正宗妙観講及び同講頭・大草一男が2002(平成14)年10月16日、東京地裁に濫訴を行なったことにより、より一層、明らかなこととなった。日蓮正宗妙観講及び大草は自らの犯罪を隠すために開き直って謀略訴訟を起こすという挙に出たのであった。このため創価学会、株式会社第三文明社、私の経営する株式会社報恩社などは故なく被告の座にすわらされた。この訴訟の進捗のなかで日蓮正宗ぐるみの電話盗聴の事実は明らかとなっていった。この裁判の東京地裁における判決は2006(平成18)年12月27日に下され原告は敗訴した。東京高裁は2007(平成19)年9月19日に地裁判決を支持し、最高裁もまた2008(平成20)年3月7日に上告棄却とし、地裁、高裁判決を支持した。このため創価学会や株式会社報恩社などの勝訴が確定した。
私はこの裁判のなかで明らかにされた証拠並びに判決の主旨を汲み、「判決 日蓮正宗妙観講連続電話盗聴事件」と題する本を2009年2月に平安出版株式会社より出した。
ところが日蓮正宗側は今日に至っても潔くその罪を認めることはなく、関係者も処分されてはいない。日蓮正宗妙観講にいたっては、私に対し「近い将来、妙観講に盗聴犯の汚名を着せたことに関して、しでかしたことの責任はキッチリ取らせたいと考えております。御期待ください」(日蓮正宗妙観講法務部の2009年2月の声明より一部抜粋)などと遠吠えをしている。

◆大草の主張は信用できないと判決された

東京高裁と最高裁が支持した東京地裁の判決文は、日蓮正宗妙観講講頭・大草一男の供述について次のように明記している。
「これを裏付ける客観的な証拠は何もない」
「上記推論には,客観的証拠による裏付がなく,想像の域を出ないとしかいいようがない」
「認めるに足りる的確な証拠はないし,文章,印字等に似た点があるからといって同一人が作成したと断定し得るものではなく,さらに,記載内容が被告渡邉から出た話であると仮定しても,それが被告Yのみに明かされた内容であると認めるに足りる証拠もない」
「断定することができるだけの的確な証拠はない」
「原告大草の上記指摘は論理のすり替えというほかなく,第2点については,客観的証拠による裏付がなく,想像の域を出ないというほかはない」
「この供述は,それ自体として不自然であって,採用することは困難である」
「当該調査結果について原告大草が関知していないとの供述は採用することができない」
「その他,反対尋問では,供述の変遷多数について質問されて,何年も経っているので,具体的事実の記憶はないと供述している」
「全く関知しないとの上記供述はにわかに措信することができない」
「原告大草が全く関知しないとの上記供述は採用することができない」
このように、裁判所は大草の供述にまったく信を置いていないことがわかる。そのうえで、「判決文」はさらに次のように記している。
「原告大草は,各盗聴への関与を否定し,縷々弁明するが,前記各客観証拠が示す事情,すなわち,盗聴が多数の者に対し,多数回にわたって行われ,その費用が多額であり,さしたる収入があるとは認められない被告渡邉が費用を単独で用意することができたと認められる証拠がなく,盗聴実行者である帝国リサーチに対しては360万円もの特別会員料が少なくとも2年間にわたって支払われており,本件FAX文書には,『本山』として日蓮正宗大石寺を指すと解される記述があることなど前示の各事情を総合すると,各盗聴が被告渡邉単独で行われたと認めるのは困難であり,原告大草,原告妙観講が関与していたと疑うことには相当な理由があるというべきである。原告大草は,請求書類等の宛名が被告渡邉となっていることを強調し,自己の関与を否定するが,『妙泉坊の件』につき,原告大草本人は,盗聴検査の依頼であるとしつつ,原告大草本人が依頼した旨供述しているところ,その費用の請求は,Xに対する盗聴の請求書と一体として,被告渡邉に出されているのであって,原告大草が他の盗聴についても関わっていることは疑うに十分である」

◆盗聴資金源についても判示

では、私の主張に対する東京地裁の評価はどのようなものであったであろうか。
「以上の北林の供述については,特に客観的証拠に反する矛盾した点等はなく,供述の信用性にかかわる疑問点は,僧侶『A』の具体的氏名をあかさないという点以外には見あたらず,全体として措信し得るものというべきである」
私の主張については「全体として措信し得るものというべきである」と評価している。僧侶「A」の存在については私が情報源秘匿のゆえにその実名を明かさなかったのであるから裁判所が「供述の信用性にかかわる疑問点は,僧侶『A』の具体的氏名をあかさないという点以外には見あたらず」と評しても止むを得ないことである。だが、このことをもよくよく考えてみると裁判所は私の情報源が「A」であろうと誰であろうと、そのようなことと関係なく本件電話盗聴事件についての私の主張が正しいとみているのである。すなわち私の主張とは一連の電話盗聴事件の張本人が日蓮正宗トップの阿部日顕であったという事実である。裁判官らは私の主張に真実をみたのである。
本件裁判の判決文の「本件各請求に関する当裁判所の判断」は、次のようなものであった。
「1 帝国リサーチが被告渡邉の依頼により実行した本件各盗聴は,前掲客観的証拠によると,原告らの関与が疑われるものであり,前記各関係者の供述を総合しても,上記疑いを払拭するには至らず,原告らがこれに全く関与していないと断定することは甚だ困難である。
すなわち,前掲証拠関係によると,次のように解される。
(1)本件各盗聴が行われ,多額の費用が帝国リサーチに対して支払われたことは明らかである。
(2)帝国リサーチに対する調査費等として,証拠上明らかなものだけで,少なくとも合計1364万円を超える支払がされていたことが客観的に認められるところ,原告らは,そのほとんどについて原告らが負担したことを否認するが,特に,『特別会員』の年会費が平成2年10月段階で360万円支払われていることは,割引率が45%引の場合,当該年度内に800万円を超える発注が予定されていたことを,割引率が30%の場合,1200万円を超える発注が予定されていたことを物語ることになる上,特に,翌年,平成3年12月にも特別会員の年会費が支払われているのであり,前年の実績を前提として,当該支払がされたものと解するのが自然であるから,その時点でも,引き続き上記程度の多額の調査発注が予定されていたものと解するのが合理的である。
(3)このような多額の費用を被告渡邉個人で用意したこと,用意する予定であったことは,これを認めるに足りる的確な証拠がなく,かえって,被告渡邉には,これを支弁するだけの資力はなかったことが窺われる。そうすると,上記費用は,被告渡邉の背後に豊富な資金力を有する資金提 供者がいたことを示すと解するのが自然である。
(4)前記認定の背景事情に鑑みれば,盗聴された対象者,盗聴を企図された対象者からみて,上記資金提供者が原告らではないかと疑われることはやむを得ない。
(5)客観的資料の中には,帝国リサーチからの連絡文書の中に本件FAX文書があり,『本山』と記載されているのが日蓮正宗大石寺を指すことは明らかであり,このことは,被告渡邉単独の行為であると仮定すると,説明がつかない事実であり,原告らの関与が疑われる。
(6)盗聴の結果については,原告妙観講が発行する『妙観』に盗聴結果を反映したとみる余地のある具体的情報が掲載されており,当該情報が別の情報源によって得られたことを認めるに足りる的確な証拠がない。
(7)盗聴についての原告らの関わりを否定する供述には矛盾撞着や客観的証拠によって窺われる事実との間の齟齬が多く,にわかに措信することができず,上記疑いを払拭するに足りる証拠力が認められない。
① 原告らが盗聴したとする『地涌』の記事が出された後,これに対抗して原告らから発行された『慧妙』に,宣徳寺の盗聴期間について,盗聴ではなく,特殊カメラを設置した張り込みであった,X宅についても,身辺調査だけで,盗聴ではなく,盗聴していないことについては明確な証拠があるなどという帝国リサーチ経営者福田政のインタビュー記事が掲載されたが,これは事実を偽るものであった。
② そして,福田政の供述は,盗聴自体を否認するものであるのみならず,本件FAX文書の意味や被告渡邉には盗聴資金がなかったであろうとの疑問等を解消し得る内容をもたない。
③ 辻栄三郎の供述も,盗聴への関わりを否定し,盗聴調査を行っただけであると述べるものであるが,福田の供述とも,小川,原告大草の供述とも齟齬するところがあり,盗聴調査に関する供述部分は不自然で措信し得ず,被告渡邉が告白する妙泉坊に対する盗聴未遂の経緯,原告らの関与状況が事実と異なると断定することはできない。
④ 小川只道の供述も,妙観講の幹部を永く続けた被告渡邉との関係を非常に薄いかのように述べる点で不自然であり,妙泉坊に対する盗聴未遂に関する供述部分も不自然な点があり,同供述によって,原告らに盗聴への関与がなかったと断定することは困難である。
⑤ 原告大草の供述も,前示のとおり,採用し難い点が多く,特に,被告渡邉との関係や盗聴との関わりを否定する趣旨の供述部分は,にわかに採用し得ない」

◆盗聴行為は書証、証言で裏づけられた

以下、この裁判における書証、証言など揺るがしがたいものを、各数行の解説をつけながら紹介する。ひとえに末代に及ぶまで卑劣な日蓮正宗の社会的犯罪の証拠を残しておきたいがためである。
とはいえ膨大な証拠類である。読者の方に「最低限なにを読むべきか」と問われれば、やはり原告、被告の法廷でのやり取りを記録した「尋問調書」だろう。私PDF10.89MB)、大草PDF20.69MB)、渡邉PDF11.98MB)、妙泉坊盗聴未遂事件に関与した辻PDF11.47MB)、そして同未遂事件に現場で立ち会った理境坊住職であり大石寺理事であった小川只道のものを紹介しておいた。なお、小川の証言はXを原告とする裁判においてなされたもので本件裁判においては乙ホ第17号証PDF20.71MB)、乙ホ第18号証PDF10.7MB)として扱われた。電話盗聴教唆犯である小川のX裁判における虚偽の証言は、被告・株式会社報恩社側より本件裁判に証拠として提出された。判決文は小川の証言と辻の証言が背反していることについて指摘している。裁判官らは辻や小川が事実に基づかずその場しのぎの証言をしているとの心証を持ち判決文を書いたことがわかる。
日蓮正宗妙観講連続電話盗聴事件の本筋を知りたい読者の方は、私の書いた「陳述書」乙ホ第70号証PDF14.34MB)、乙ホ第71号証PDF10.53MB)、乙ホ第90号証PDF24.81MB)をぜひ読んでもらいたい。これは三つの号証番号に分かれているが、もともと私が大阪において三泊四日をかけ一気に書き抜いたものである。号証番号が分かれているのは、弁護士の方々がその整理に時間がかかったからである。
この大部の「陳述書」は、事件の経過をA期、B期に分け、本筋を理解しやすく書いている。裁判官らに事件の本質を理解してもらいたかったのだ。
この裁判は一度、結審し判決がそのまま出るかにみえた。本件電話盗聴事件を巡る裁判は、本件裁判に先行して二つの訴訟が行なわれていた。その原告は一つはX、もう一つはYで、いずれも電話盗聴の被害者であった。言うまでもなく被告には阿部日顕、大草一男なども含まれていたが、これらの者について電話盗聴の関与を立証するまでに至らず、阿部や大草は逃げおおせていた。
この先行二訴訟の結果を本件訴訟に関わった裁判官らも踏襲すればいいと、当初、考えていたことはまず間違いないだろう。それに「まった」をかける思いで、「このまま判決に至るべきではない。まだまだ法廷に呼ぶべき証人がいる。妙泉坊事件は電話盗聴未遂事件であり、決して原告・大草らの言うような電話盗聴器発見調査ではない。妙泉坊の電話盗聴をしようとした辻栄三郎などを法廷に呼ぶべきだ」との主張を「陳述書」(乙ホ第165号証PDF15.46MB)で行なった。この「陳述書」は渾身の思いで、裁判所に一筆啓上したものである。この思いは通じ、いったんは判決日が2006(平成18)年2月22日と出、さらに同年3月29日と延びながらも、3月21日には6月21日に東京地裁は辻と渡邉を証人調べすると通知してきた。
辻と渡邉はいずれも妙泉坊に対する電話盗聴を実行するために、同坊が所在する日蓮正宗総本山大石寺を訪れた者である。その者たちを裁判所が証人として調べるということは、大変なことを意味している。妙泉坊は先述したように大石寺ナンバー2の主任理事・八木信瑩が住職をしている坊である。その坊に対する辻と渡邉の行動が、私らの主張するような電話盗聴行為であったのか、あるいは電話盗聴器発見調査であったのか――。そのことを見極めるために裁判所は二人を証人として尋問する必要があると判断したのである。妙泉坊事件が盗聴未遂であるなら、大石寺ナンバー2の電話盗聴を教唆した者は大石寺ナンバー1の阿部日顕であるとの心証を裁判所は抱くことになる。辻と渡邉の尋問は、この裁判の天王山となった。
裁判は再開され、2006(平成18)年6月21日に辻の証人尋問が行なわれ、同年10月11日に渡邉の尋問が臨床で行なわれた。この裁判再開のきっかけともなった「陳述書」もまた、ぜひとも読んでいただきたいものである。

2011年1月3日

◆書証一覧


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